洗っても落ちない「疲労臭」。
対策のカギを握るのはビフィズス菌?!

ライフスタイルが様変わりしたこの数年、新しい生活様式にストレスが溜まりがちな人も多いのではないでしょうか。そんなストレスが、実は「疲労臭」と呼ばれる、洗っても落ちない厄介な体臭の原因になっていることをご存じですか?自分自身の体臭には気づきにくいもの。酸っぱいニオイなど悩み・対策は人それぞれです。近年の研究によって、この「疲労臭」の対策にビフィズス菌が関係している可能性が分かってきました!

「疲労臭」とは?

「疲労臭」とは、皮膚から放散される「アンモニアガス」を指します。
アンモニアは通常、肝臓で分解されます。しかし肝臓の働きが弱まったり、腸内環境の悪化によりアンモニアが腸内で過剰に発生したりすると、体内で分解しきれなかったアンモニアが、血流にのって皮膚から放散されることがあります。これが疲労臭です。

疲労臭の原因物質であるアンモニアは、運動などで筋肉を使うと血中濃度が高くなり、皮膚から放散されることが知られています。しかし最近、メンタルストレスによっても同様にアンモニアが放散されることが、東海大学の関根嘉香先生の研究によりわかってきました。「この疲労臭は、やっかいなことに洗っても落ちません。疲労臭を抑えるためには、体の内側からケアが重要です」と、関根先生は話します。

疲労臭対策のカギはビフィズス菌?!

関根先生と森永乳業は「疲労臭と腸内環境」に関する共同研究を行い、ビフィズス菌のエサとなるラクチュロースを摂取してもらい、その影響を調べてみました。すると大腸内のビフィズス菌が多いほど、皮膚からのアンモニア放散量、すなわち疲労臭が少ない傾向があるとわかったのです
ラクチュロースを摂取した人の、アンモニア放散量が少ないときは、大腸内のビフィズス菌が多い傾向にありました。「大腸の中のビフィズス菌が増えることによって、疲労臭を抑えることができるのかもしれない」と関根先生は話します。

ビフィズス菌のエサとなるラクチュロース

牛乳に含まれる乳糖からできるオリゴ糖の一種「ラクチュロース」。
ヒトの胃や小腸では吸収されずに大腸まで届き、そこでビフィズス菌のエサになることでビフィズス菌を効果的に増やします。

なぜビフィズス菌が疲労臭を抑えるの?

関根先生は「ビフィズス菌が大腸でつくる乳酸や、『短鎖脂肪酸』のひとつである酢酸が疲労臭抑制のカギでは?」と注目しています。ビフィズス菌が作った酢酸が大腸内を弱酸性に変えることで、アンモニアの発生を抑制したり、アンモニアを血中に移行しにくい形にしたりする可能性が考えられています。
このように疲労臭抑制に効果的と考えられる腸内細菌が作る短鎖脂肪酸には、その他にも以下のような全身の健康維持にかかわる嬉しい働きも多く認められています。

① 悪玉菌の働きと増殖を抑える
② 腸管バリア機能を高め、病原菌などを体内へ侵入させない
③ 大腸の動きを活発にして、便通を改善する
④ 免疫反応を制御する
⑤ 血糖値をコントロールする
⑥ 脂肪の蓄積を抑制し、太りにくい体質にする

ビフィズス菌とラクチュロースで、疲労臭も全身もケア!

今回紹介した研究では、ビフィズス菌により体臭の一つである疲労臭抑制・対策の可能性が見えてきました。ビフィズス菌が多い腸内環境は、ニオイだけでなく全身の様々な健康に良いことがわかっています。日々の健康づくりにも効果的なビフィズス菌とそのエサとなるラクチュロースの摂取を心掛け、疲労臭対策を始めてみませんか。

東海大学理学部化学科教授 関根嘉香先生

アジアの大気環境に関する学際的研究、室内空気汚染(シックハウス症候群)の予防・改善に関する研究に取り組む中で、人の体から発せられる皮膚ガスのにおいに着目。その分析と健康状態との関連を研究する。におい分析のエキスパートとして多数のTV出演など、メディアでも活躍。