便秘の原因と解消法を解説!
腸内環境を整えるビフィズス菌の選び方とは?

なった人にしかわからない便秘の苦しみ……。その症状の改善には、腸内環境を整えることが重要です。食物繊維と水分を十分に摂取し、さらには「菌」の力を借りることが有効だと考えられています。

便秘ってどんな状態なの?

便は私たちが食べたものの「残りかす」です。食事をすると身体の中で便がつくられ、外に出されます。排便は毎日自然にあるのが理想ですが、なんらかの理由で出なくなってしまうのが便秘です。
慢性的な便秘には「排便回数減少型」や「排便困難型」などがあります。

○排便回数減少型…便の回数が少なくなるもの。腸内に便が長くとどまり、便が硬くなって出にくくなるタイプ
○排便困難型…直腸まで便がきていても恥骨直腸筋が緩まず、なかなか便が出ないタイプ

一般的に、1週間の便の回数が3回未満の人は排便回数減少型。一方、便意があるのに出しづらかったり、排便後も残便感があったりするなどの場合は排便困難型便秘のおそれがあります。排便困難型便秘は便秘に悩む人の2~3割が該当するといわれています。

便秘を改善する基本は、腸内環境を整えること。それには

①身体や腸によい働きをする菌の力を借りること
②毎日の食事で食物繊維と水分をしっかり摂り、腸内で便がスムーズに動く環境をつくることがポイントです。

便秘の解消法① ビフィズス菌で腸内環境を整える

便秘の改善には、ビフィズス菌の力を借りることが有効です。私たちの腸内には、身体や腸によい働きをするビフィズス菌や乳酸菌などの「善玉菌」、有害な働きをする「悪玉菌」、その他の「中間菌」が共生しています。腸内にはこれらの微生物がおよそ40兆個[1]存在していますが、ビフィズス菌は腸内環境を整える善玉菌の主役です。ビフィズス菌は、腸内で酢酸という有機酸(短鎖脂肪酸)をつくります。これが悪玉菌の増殖を防ぎ、腸内環境を整えるのです。

生きたまま腸に届くビフィズス菌「BB536」

腸内環境をよりよい状態に保つためのアプローチとして、ビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌を摂って腸に届ける「プロバイオティクス」が提唱されています。ただし、食品から摂取した善玉菌は、腸内にずっと生息するわけではありません。定期的に身体の外に排出されるため、腸内環境の維持には毎日補うことが必要です。

ビフィズス菌は酸や酸素に弱く、食品への応用は困難でしたが、森永乳業ではヒトにすむ種類のビフィズス菌の中でも、酸や酸素に強く、生きたまま腸に届く「BB536」という株に注目し、研究開発を進めてきました。

「BB536」とセットで摂りたい「ラクチュロース」

加えて、ビフィズス菌を腸に届けるだけでなく、そこで元気に働いてもらうための研究も進んでいます。たとえば、牛乳に含まれる糖からできるオリゴ糖の一種「ラクチュロース」。これは、ヒトの胃や小腸では吸収されずに大腸まで届き、そこでビフィズス菌のエサになることで腸の動きを活性化させる「プレバイオティクス」です。

ビフィズス菌をはじめとする「プロバイオティクス」と、ラクチュロースをはじめとする「プレバイオティクス」を一緒に腸に送り込む考え方を「シンバイオティクス」と呼び、腸内のビフィズス菌の働きをより活発にする方法として注目されています。

便秘の解消法② 食物繊維と水分を摂る

便秘の予防には、食物繊維を含む食材を毎日の食事で積極的に、バランスよく摂ることも大切です。また毎朝起床後に冷たいものを飲むようにすると、胃や大腸を刺激して排便につながります。食物繊維には不溶性と水溶性の2種類があります。

不溶性食物繊維

ごぼう、たけのこ、蓮根などの繊維の固い野菜や、きのこ類、豆類などに含まれています。腸内で水分や有害物質を吸収し、便のかさを増やします。

水溶性食物繊維

りんごやみかんなどの果物、芋類、キャベツや大根などの野菜類、昆布やわかめなどの海藻類も含まれています。便のかさを増やすほか、水分を保持した滑らかで適度な柔らかさの便をつくります。

一般的に食事の量が少ない便秘には、便のかさを増やす不溶性食物繊維が、滞留便が多い便秘には便のかさを増やし滑らかにする水溶性食物繊維が向いているといわれています。

逆に、食物繊維が少ない食事は便秘を引き起こす可能性もあります。中でもお肉ばかり食べるのは、腸内の悪玉菌を増やすのでおすすめできません。また、柿やお茶、赤ワインが多く含むタンニンも、摂取しすぎると腸の蠕動運動を抑制してしまうと言われています。

ストレスや便意を我慢することも便秘の原因に

引っ越しや転職などで生活環境が変わると、便が出にくくなるという方は多いのではないでしょうか?食事だけではなく、ストレスも便秘の原因のひとつ。ストレスが腸の働きを弱くし、便秘を引き起こすことがあるのです。ストレスで便秘になりやすい場合、ストレスに負けない健康な腸内環境を日頃から整えておくとよいでしょう。

ほかにも、便意を我慢することが続くと、自然に排便するタイミングがわからなくなり、便秘になることもあります。便意を感じたときには我慢せず、すぐにトイレに行くようにすることが肝心です。排便のサインを見逃すことがないように、規則正しい生活で決まった時間に排便する毎日のリズムをつけるとよいでしょう。

意外と見落としがち!排便時は姿勢もチェック

スムーズな排便には、便をするときの姿勢も要チェック。実は、洋式トイレで普通に用を足す姿勢では、腸が締め付けられる形となり、スムーズな排便が阻害されてしまいます。そのため、洋式トイレで排便するときには、便座に前かがみに座った姿勢をとるのがおすすめです。

まず、視線を下に向け、ひじを両膝におくようにします。すると、自然と前かがみの姿勢がとれるはずです。この体勢だと直腸から肛門が一直線に近づき、排便がしやすくなります。さらにかかとを軽く上げると、おなかに力が入りやすく、いきみやすくなります。

また、便秘に効くツボもあるようです。排便で悩んでいる方は、腸内環境や排便時の姿勢の改善と合わせて、休憩時間などに気軽に試してみるといいでしょう。

便秘は肌荒れや吹き出物の要因にも!

便秘というと「便が出ないだけ」。そう思う方もいるかもしれません。しかし本来、毎日身体の外に排出する便が体内にとどまると、腸内の腐敗産物などが増加し、腸内環境が悪化します。その結果、腹痛・食欲低下・吐き気などの胃腸の症状だけでなく、腸内の老廃物によって肌荒れや吹き出物も出やすくなってしまいます。実は、腸内環境を整え、便秘を改善することは、健康な身体をつくるためにもとても大切なことなのです。

便秘になりにくい腸内環境のために

自分の腸内環境の状態は、便の観察でわかります。実は便にはたくさんの情報が含まれています。濃い便の色は、腸に長くとどまっていたことを示しています。腸内環境を整える生活を始めると、少しずつ自分の便が変わっていくのに気づくでしょう。このように「毎日うんちと会話する」ことは、自分の腸内環境をチェックする大きなヒントになります。

ただし、それでもなかなか改善しない便秘や、どうしてもつらい場合には、かかりつけの医師やご近所の便秘外来に相談することも大切です。重篤な便秘は、「便秘症」というれっきとした病気。きちんとした治療を受けましょう。そうして病気を治したあとは、日々の健康維持にプロバイオティクスやプレバイオティクスといった方法を取り入れるといいでしょう。

監修医師

いそむらファミリークリニック院長 磯村幸範先生

岐阜大学医学部卒業後、2005年10月に「いそむらファミリークリニック」を開業。日本内科学会総合内科専門医の資格を持ち、あらゆる病気の可能性を考慮した上で多角的な視点から診断を行うことを大切にしながら、丁寧で、無駄のない適切な治療を目指している。

[参考文献]

[1]Sender R, et al. Are We Really Vastly Outnumbered? Revisiting the Ratio of Bacterial to Host Cells in Humans, Cell 2016; 164: 337-340